〈私は安倍(晋三)さんのもとでしか憲法改正は出来ないと思っている。(中略)正面から自衛隊を認めるべきだ。戦争ができる国になってしまうという声があるが、戦争ができる国でなかったらこの国は守れない〉

 戦争したっていい、そう軽く口にするオヤジたちは、その発言を、自分を強そうに見せる鎧のように感じているのかもしれない

 自分たちは前線にいく可能性はゼロなのに? この国の子どもや女も死んでしまう可能性があるのに?

 あたしには幼稚園児のようにオモチャの変身ベルトをつけポーズする、危ないオヤジにしか見えない。

 逆に、「戦争をしないためなら、自分はなんだってやる」という発言のほうが格好良いと思うけどな。

 けどそれで、「かっけぇー!」といってくれるお仲間もいるみたいで。

 お仲間たちには、マジで格好良い鎧が見えているのか? いいや、鎧に隠れた弱さを愛でている?

 人として未熟なあたしには、理解不能。よくわからないんだよね。

週刊朝日 2018年5月25日号

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室井佑月

室井佑月

室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

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