室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。自らの子育てを綴ったエッセー「息子ってヤツは」(毎日新聞出版)が発売中
室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。自らの子育てを綴ったエッセー「息子ってヤツは」(毎日新聞出版)が発売中
(c)小田原ドラゴン
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 安倍政権が目指す憲法改正。作家・室井佑月氏は、推し進める議員らの発言を鎧に隠れた弱さと指摘し、苦言を呈する。

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 ボディービルなどで筋肉をつくっている人は、

「ほんとは気が弱い可愛らしい人が多いの。筋肉は彼らの気の弱さを隠す鎧(よろい)なの」

 以前、クリス松村さんがそうおっしゃっていた。

 目から鱗の発言だった。いわれてみればそうかも。

 PTAの会合などで、女がお高いブランドのバッグを持つのと一緒? あたしはやらないけど、その気持ちは理解できる。

 男も女も、強そうに見せたい。いじめられたり、粗末に扱われたりするのが怖いから。

 クリスさんみたいに優しい人は、その弱さをわかった上で、可愛らしいといえるんだろう。あたしもそうなりたいものだ。

 国会でヤジを飛ばしたり、マスコミに圧力をかけたり、隣国に強気発言一辺倒だったりの安倍首相も、ストレスで悪化するという難病に苦しめられている。

 日本一マッチョな発言をくり返してきた元都知事のあの方も、チックを患っていたりして、ほんとは気が弱いのかも。

 そうそう、元都知事のあの方が、豊洲市場問題で、都議会百条委員会の証人喚問に応じたとき、わかりやすくヨボヨボのヨレヨレだった。

 しかし、大事なところを「脳梗塞の後遺症で覚えていない」、そう答えられると、あたしは腹が立ったものだ。弱々しい演技してるんじゃねーよ、とまで思った。まだまだ人としての修業が足りないのかしら?

 5月3日付の西日本新聞(電子版)に、

〈今から5年前。東京で政治取材を担当していたある夜のことだ。酔って帰宅した安倍晋三政権の政府高官が番記者たちに、こうつぶやいた。「極端なことを言うと、われわれは選挙で『戦争したっていい』と信任されたわけだからね(後略)」〉

 という記事が載った。

 同じく3日付の朝日新聞デジタルに、宮崎の講演会での中山成彬議員のこんな発言が載った。

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室井佑月

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室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

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