eパワーにも弱点はある。モーターなどのコストがかかるため、同じクラスの標準的な車より数十万円ほど高くなる。最高速度も通常より低めだ。高速で長い上り坂を走ると、エンジンによる発電効率が落ちて、燃費が悪くなるリスクもある。自動車評論家の国沢光宏氏は、乗り心地などを評価しつつこう語る。

「3気筒で1.2リッターの発電用エンジンではパワー不足の懸念がある。長い上り坂を走ると、向かい風が吹くこともあり、電気供給がぎりぎりになるかもしれない。高速道路では燃費が悪くなるため、高速走行が多い海外での展開は厳しいかもしれない」

 自動車評論家の清水和夫氏は渋滞が多い国内に合う「ローカルな商品」という。

「大きい車を高速で走らせるのは不得意だ。欧米で展開するには、街中だけで運転する専用車などとして割り切る必要がある。得意な条件で勝負しないと勝てない」

 もちろん日産でも対策を検討している。eパワーの開発責任者の仲田直樹氏は、走行時の余力をどこまで持たせることができるのかがポイントだと認める。

「車格にもよるが、発電用エンジンの出力やバッテリーの容量を上げていくことが必要になるだろう」

 実際、セレナではエンジン出力やバッテリー容量などを細かく調整。走行用モーターの最高出力はノートの80kWに対し、セレナは100kWに引き上げた。これから投入される5車種については、パワー不足への対策も進むとみられる。

 トヨタも黙っていない。電動化を進め、2025年ごろにはエンジン車だけの車種はなくすという。日産は巨人のトヨタにどこまで迫れるのか。まずはノートやセレナの販売好調がいつまで続くかが試金石となる。(本誌・浅井秀樹)

週刊朝日 2018年5月25日号