近年では臨床の腕をみがく期間が長くなっていて、歯科医師の「開業遅れ」が指摘されている(※写真はイメージ)
近年では臨床の腕をみがく期間が長くなっていて、歯科医師の「開業遅れ」が指摘されている(※写真はイメージ)

 全国にある歯科診療所の数は6万8千件以上。その中からいい歯医者と巡り合うためには患者自身の「選ぶ目」を養う必要があります。歯科医師がどのようにキャリアを積んで一人前の医師になるのか、歯科医師をとりまく状況を理解することが「いい歯医者」に巡り合うことにもつながります。週刊朝日MOOK「いい歯医者2017」では、賢い患者になるために、知っておくべき歯医者の基本を解説しています。

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 厚生労働省の2014年の調査によると、国内における歯科医師の数は10万3972人です。そのうち、「開業医(診療所の開設者または法人の代表者)」は5万9750人で、全歯科医師の57.5%を占めています。次いで多いのは、「診療所の勤務者」で、2万9074人(28%)。全歯科医師の85%以上が歯科診療所(歯科医院)に勤務していることになります。

 そもそも、歯科医師は、どのようにキャリアを積んでいくのでしょうか? それを知ることで、歯科医師の年齢や経歴、プロフィルから参考となる情報を得ることができるでしょう。

 歯科医師になるためには、全国に29校ある大学の歯学部を卒業し、歯科医師国家試験に合格することが必要です。歯学部は、医学部と同じ6年間の課程で、この間に歯科医師に必要な知識と技術の基礎を修得します。歯科医師国家試験に合格すると、歯科医師免許を取得できますが、06年の歯科医師法の改正により、卒業後に1年以上の臨床研修が必修化されました。臨床研修とは、臨床(実際の患者の治療)の場で治療をしながら歯科医師としての技術や知識を積み重ねるもので、定められた研修病院や診療所でおこないます。

■歯科医師の大半はいつかは開業する

 臨床研修が終わる卒後2年目から、それぞれ進路が分かれます。前述の調査では「開業医」が歯科医師の半数以上を占めていましたが、歯科医師免許を取ってすぐに一人前の歯科医師になれるわけではありません。臨床研修が終了してすぐに開業する歯科医師は、まずいないといわれています。

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