親が認知症でなくても、子が親に回想法をすれば、親孝行になると思います。家族が聞いてそれを書きまとめる。家族が親の人生に感謝と尊敬の意を示す、子が親の人生を肯定してあげる行為です。

 親が遠方で独り暮らしをしているなら、頻繁に連絡をしましょう。電話もなく、孤立感が強まると、具合が悪くなります。抑うつ状態にさせないためにも「自分は誰かの支えになっている」という役割を与えるといいでしょう。無視するくらいなら、心配かけるほうがずっといい。

「あと何回会えるかわからない」──それを念頭に置き、会える日々を大切に過ごしましょう。同じ話を聞かされても、「またその話?」でなく、じっくり聞く。一緒にいてあげるだけでもいい。その時間がいかに貴重か、あとになって実感するときがきっときます。

 認知症の家族の介護をされている人の中には、日々の世話に疲れ、怒ってしまう人もいます。そんな自分を責め、苦しんでもいます。親孝行は100%と考えず、70%ぐらいのつもりでやりましょう。

週刊朝日 2018年5月18日号