伊東:よくご存じで。なじみのデニーズがあるので、そこに行って5、6時間。もうその店に行き始めて10年以上ですからね。

林:お昼もそこで召し上がるんですか。

伊東:朝、昼、晩と食べたことありますよ。

林:もちろんパソコンですよね。

伊東:パソコンです。充電器二つ持って行きます。昔は寝てから行ったんですけど、今は寝ないで行って、それでも平気な体になったんです。

林:ジムにも行ってるんですよね。

伊東:行ってます。昔はほぼ毎日でしたけど、今は週に3回ぐらい。

林:最近は作家もみんな健康に留意してるんですね。

伊東:話は飛びましたが、最後に安定性。これはいかに「ハズレなし」で本を出せるか。僕は最初に構想を立てるとき、企画書じゃなくて感情曲線とストーリー曲線をデザインするんです。ストーリーは前半・後半でそれぞれ二つぐらいの山場を設けて、最後にガンと盛り上がるような展開にする。感情曲線は、『ベストセラーコード』(ジョディ・アーチャー/マシュー・ジョッカーズ著)という教本があって……。

林:そんなものがあるんですか。

伊東:翻訳モノなんですけど、今までベストセラーになった本をコンピューターにぶち込んで、感情の流れを分析しているんです。七つのパターンがあって、そのうちのどれかに当てはまると売れるというんです。

林:ほんとですか。日本語訳、あるんですか。

伊東:あります。この本だけは自信を持って作家仲間にすすめていますので、ぜひ読んでみてください。歴史小説の場合は史実に従わなきゃいけないので、曲線がうまく描けないときもありますが。基本的にその法則にしたがっていれば、「ハズレなし」という状態を続けられると信じています。最新作の『修羅の都』は、源頼朝と北条政子の夫婦の物語ですが、この方法論に則って書いたので、超絶おもしろいはずです(笑)。

林:おー、楽しみにしています。

(構成/本誌・野村美絵)

週刊朝日 2018年5月18日号より抜粋