さらに、「仕事が増えるのはいや」と消極的な市町村は要注意のようだ。三科さんは、「行政マンは当初想定していたルーティン以外の仕事が増えるのを嫌がる傾向にある。行政出身の首長の自治体は、危機感がないことも少なくない」と指摘する。

 以前にも、地域の農水産物を保護する国の地理的表示保護制度(GI)の申請を勧めた自治体があったが、行政に難色を示されたそうだ。「担当者は口にはしなかったのですが、仕事を増やしたくなかったんでしょうね……」

 しかし、そこで成長をあきらめてしまっていいのだろうか。

「こういうときは、その地域で『動ける人』を探します。『この人ならば!』という人物です。日本は、まじめに活動する人が多いから、最初の一歩を踏み出す人を見いだせば、うまく回ります」(三科さん)

(本誌・緒方麦)

週刊朝日 2018年5月18日号より抜粋