漆畑医師は「痛みを伴う赤い発疹」が出たら、すぐに皮膚科を受診することを強くすすめる(※写真はイメージ)
漆畑医師は「痛みを伴う赤い発疹」が出たら、すぐに皮膚科を受診することを強くすすめる(※写真はイメージ)

 体内に潜んだ水ぼうそうのウイルスが、患者の免疫力低下により再活性化して発症する帯状疱疹。典型的な症状は、からだの片側に帯状に出る、痛みを伴う赤い疱疹(小さな水ぶくれの集まり)であり、対応を誤ると、つらい神経痛に長く苦しめられる恐れがある。帯状疱疹が疑われる場合、どうしたらよいか、予防法はあるかなど、皮膚科専門医に聞いた。

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「帯状疱疹は皮膚に水ぶくれができる病気ですが、患者さんの訴えの多くは『痛み』です。ピリピリした、刺すような、痛いというよりつらいなど、訴え方はさまざまです。水ぶくれが出る前から、皮膚の下では再活性化した水ぼうそうのウイルスによる神経破壊が始まっており、痛みは皮膚症状が出る前から始まるのが一般的です」

『痛みを残さない帯状疱疹 再発させない単純ヘルペス』(メディカルトリビューン)などの著書がある宇野皮膚科医院・院長の漆畑修医師は、このように指摘する。帯状疱疹の治療には抗ウイルス薬を中心に鎮痛薬やステロイド薬などが使われ、発疹が出て3日以内に治療を始めれば、3~5日で症状が治まるケースが多い。

 漆畑医師は「痛みを伴う赤い発疹」が出たら、すぐに皮膚科を受診することを強くすすめる。その理由はこうだ。

 発疹が出る前の皮膚の痛みはそれほどでもないことが多いが、発疹が出た後では激痛になることもある。痛みのピークは皮膚症状が出てから10日目くらいであり、その後、皮膚症状も痛みも引いていく。

 しかし、なかには、皮膚症状が治まっても、痛みだけが慢性痛として残ってしまうケースがあり、帯状疱疹後神経痛(PHN)と呼ばれる。PHNは1~3カ月で治まる場合もあるが、高齢者を中心に痛みが年単位で続き、患者のQOL(生活の質)を大きく低下させることもある。

「受診が遅れ、診断・治療開始が遅れれば、遅れるほど、PHNに進みやすくなります。帯状疱疹に対する抗ウイルス薬(内服薬)の開発などは進んでいますが、PHNは難治性で治療が効きにくいことも多く、PHNに進ませないことがとても大切です」(漆畑医師)

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