角層の水分減少でさらにバリアー機能が低下するという悪循環に陥り、肌荒れが悪化していく(※写真はイメージ)
角層の水分減少でさらにバリアー機能が低下するという悪循環に陥り、肌荒れが悪化していく(※写真はイメージ)

 季節の変わり目、とくに春は、湿疹ができたり肌が荒れて粉をふいたりしたようになってつらい――。老若男女を問わず、こんな肌の悩みを抱える人は少なくない。4月に放送されたバラエティ番組「アメト――ク!」(テレビ朝日系列)でも、人気お笑いタレントの今田耕司や狩野英孝などが「お肌よわよわ」芸人として集まり、「よわよわ体験」を告白。SNSなどネット上には多くの共感の声が上がっていた。この季節に起こりやすい肌のトラブルについて、皮膚科の医師に取材した。

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 季節の変わり目の肌荒れや、芸人たちが訴えた「頭皮をかいて毛がなくなった」「肌が弱い人のあだ名はだいたい『粉ふきいも』」「タイツ的なものをはいたら世界のかゆみが来た」「仕事のストレスで肌がかゆくなる」――。

 これらの症状について、『敏感肌の診療』(メディカルレビュー社)などの著書がある宇野皮膚科医院・院長の漆畑修医師は次のように解説する。

「多くはいわゆる敏感肌のことかと思われます。敏感肌は、敏感肌体質といえる何らかの体質をもった人に生じる、各種の刺激に反応しやすい肌のことです。肌荒れ(乾燥肌)や湿疹、かぶれ、ニキビ、フケ、これらに伴うかゆみなどが生じ、なかでも肌荒れは、敏感肌の前段階と考えられます」

 肌荒れは、肌の最も外側の組織である角層のバリアー機能が低下し、外部刺激が侵入することで肌に炎症がおこり、角層の水分が減少した状態。角層の水分減少でさらにバリアー機能が低下するという悪循環に陥り、肌荒れが悪化していく。

 また、敏感肌は学術用語ではなく、医学的な定義もないが、漆畑医師によると、主に脂漏(しろう)性皮膚炎、成人ざ瘡(そう)(大人ニキビ)、接触皮膚炎(繊維や金属、化粧品、洗剤、食品などによるかぶれ)、光線過敏症、アトピー性皮膚炎(超敏感肌)をベースに発症する。肌荒れが進むとこれらのベースとなる皮膚疾患が表面化し、敏感肌として自覚されることになる。

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