白石加代子さん(右)と林真理子さん(撮影/写真部・加藤夏子)
白石加代子さん(右)と林真理子さん(撮影/写真部・加藤夏子)

 舞台での活躍が多かった女優の白石加代子さんですが、作家・林真理子さんとの対談で、2017年のNHK朝の連続ドラマ「ひよっこ」に出演してからは、近所のスーパーで声をかけられるようになったと明かしました。

*  *  *

白石:私、忘れられないことがあって。昔、京橋にあった銀座セゾン劇場の切符売り場に立ってたら、林さんがお通りになったの。でも私のことなんか知るはずないと思って隠れていたら、林さんに「あら、こんなところで何してらっしゃるんですか?」って声をかけていただいて(笑)。

林:えっ、名乗りもせずに? それは大変なご無礼を……。

白石:ううん。すごくうれしかったの。私は知名度がないから気づく方は少ないので油断してて。

林:でも私、たしかその前に楽屋で白石さんにお目にかかって、ご挨拶したことがあったと思います。

白石:えっ、どこで?

林:どの舞台だったかな。ずいぶん前ですから……。

白石:そうね、セゾン劇場でお会いしたのも、20年くらい前だと思う。これまで街で声をかけられることなんてめったになかったのに、去年「朝ドラ」に出てからは丸正(スーパー)に行っても……。

林:丸正に行かれるんですか。うちの近くにもありますよ。

白石:よく行くんです。私は主婦で家事が大好きだから。買い物をしてると、向こうのほうから私を見てそっと手を振ってくださったりするんです。テレビってすごいなと思って。

林:私は「ひよっこ」が大好きで毎日見てましたけど、白石さんが演じた富ちゃん、すごくおもしろい役でしたよね。白石さんがお出になると画面の空気が変わるんですよ。

白石:技術の方々がいろいろ工夫してくださったんです。私は怖いお話をやってるから、そこからヒントを得ているんでしょうね。おもしろおかしく撮ってくださって、周りの方に助けられました。

林:「あかね荘」、ただならぬ場所になってました。若い俳優さんもたくさん出演されてましたが、いろいろ教えて差し上げたり?

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