「高齢者は筋力が落ちるだけでなく、関節の機能が弱くなります。関節の可動域が狭まり、だんだん硬くなり、手足が縮みやすくなる。姿勢を正せば、しなやかな体になります。関節の可動域が広がり、転倒予防にもなるでしょう。例えば、指を開いたり、ひじを伸ばしたり、普段と逆の動きをするとよい。体が伸びて姿勢がよくなり、血流も改善する好循環になります」

 年を重ねて筋力が衰えると、自然と楽な姿勢をとってしまう。背もそうだろう。ただ、それは体のゆがみや不調につながり、病気の原因にもなる。健康を保ってフレイルを防ぐには、普段から正しい姿勢を意識することが出発点になる。

 山王メディカルセンター(東京都)の太田博明・女性医療センター長は、姿勢と健康についてこう話す。

「自分の足で、自分の行きたいところに歩けるという幸せ。これは何にも代えがたいことなのです。フレイル予備群と思われる方は、積極的に歩きましょう。歩くためにはいい姿勢づくりが大事。そして、いい姿勢を保つには、筋肉と骨を鍛えることが大切なのです」

 今日から早速、美姿勢を実践してみませんか。(本誌・大崎百紀)

週刊朝日 2018年5月4-11日合併号より抜粋