「いっち、にっ、さ~ん」
高齢者の元気な掛け声が響く。4月上旬の東京都町田市。桜の名所に近い小山町内の自治会館で、「美姿勢(びしせい)」を意識した「いきいきチェア姿勢エクササイズ」に取り組んでいた。
ボディコンディショニングトレーナーの柴田有紀子さん(52)が考案した健康体操。めざすは、寝たきりにならない体づくりだ。「姿勢から体を整える」をポイントに、体の機能改善と体力維持をねらっている。正しい姿勢で椅子に座りながら約1時間、体を動かす。立ったり、走ったりは一切なし。これまでに300人以上が参加し、最高齢は93歳女性で今も体操を続けているという。
どうすれば、美しい姿勢で座れるのか。柴田さんが見本を示し、四つのポイントを教えてくれた。確かに横から見て美しい。
【美しい座り方、4つのポイント】
1.座骨(お尻の一番下の骨)が、椅子の座面に当たるように座る。左右の座骨に体重が均等にのっているか、お尻の下に手を入れてチェック
2.座骨を椅子に突き刺すイメージで、へそからみぞおちまでを伸ばす。背筋を伸ばし、おなかをへこませる
3.肩の力を抜き、両わきを締める。背中や肩にハリやコリを感じたら、3~5回深呼吸をする
4.骨盤、ひざ、くるぶしがまっすぐになるように、ひざとつま先を同じ方向に向ける
この姿勢を保ったまま体を動かし、エクササイズをする。座ったままお尻で歩くウォーキングなどがあり、体の軸が整って体幹が鍛えられ、筋力も高まる。座りながらの足踏みウォーキングが始まると、柴田さんが参加者に声をかけた。
「お約束三つですよ! 一に座骨で椅子を押すこと。二に、腰骨から肋骨の間を長く保つこと。そして、股関節を折り曲げること」
美しく座る姿勢のカギは、へそからみぞおちまでを伸ばすように意識することだという。「ここが弱くなれば、縮んだような状態になり、体が折り畳まれた見た目になります。つまり、猫背です」と柴田さん。