このほか、予防や治療、介護面から郊外での店舗展開が目立っている。一方で、最近は都市部にも目を向け、首都圏を中心に40店舗以上を展開する一本堂を3月に傘下に収め、Tポイントを導入した。

 1995年から売り上げ首位を続けていたのがマツモトキヨシホールディングス(HD)だが、2016年度は3位だった。最近は収益性も重視して事業を見直し、この2年間は成長に向けた踊り場と位置づけていたという。

 同社は都市型店舗を展開し、化粧品に強い。開放的な店づくりも追い風となり、かつては女子高生の人気スポットとなった。最近は訪日外国人の化粧品需要などに力を入れる。売上高全体でインバウンド需要が11%を超える。全国約1600店のうち免税対応は480店を超える。外国人客は国ごとに売れ筋が異なるため、顧客層に合わせて店舗をグループ化し、商品構成などを工夫している。

 九州中心に西日本で展開するコスモス薬品は、売り上げ構成で食品が5割を超えるユニークな存在だ。

 人口1万人程度の限られた商圏に可能な限り大型店を出すことで、圧倒的なシェアを取る戦略。食品を充実させ安価で提供し、顧客が週に何度も来店してくれるようにしている。

 日替わりや時間帯別の特売、ポイントカードは廃止している。特売は販売促進費がかかり、安い価格を常に継続することが顧客の信頼につながるとの考えからだ。

 店舗は現在、中部地方まで展開。徐々に東に進み、近い将来は関東に出ていく。5月の決算期末までに福井県に1号店を出店するなど、北陸への進出を決めている。

 ドラッグストア業界では出店意欲が依然旺盛だ。業界は2025年に10兆円の目標を掲げている。まさにコンビニに並ぶ規模だ。

 業界関係者は言う。

「調剤市場は業界外に7兆~8兆円ある。便利なコンビニは10兆円の市場を持っている。これらを奪い取っていく」

 勢いはしばらく続きそうだ。(本誌・浅井秀樹)

週刊朝日 2018年5月4-11日合併号