国立がん研究センター東病院の伊藤雅昭医師は病院選びのポイントを次のように話す。

「結腸がんでは臨床試験により、開腹・腹腔鏡ともに手術成績が良いことが認められています。ただし、腹腔鏡手術は技術的な担保が必要な手術。熟練した病院は成績に差が出ます。特に直腸がんなどの難しい腹腔鏡手術では、『手術数』が多く、日本内視鏡外科学会の『技術認定医』がいるような技術レベルの高い病院を選ぶとよいでしょう」

 手術数について、大阪国際がんセンターの大植雅之医師はこう話す。

「年間およそ100例以上、ISR(括約筋間直腸切除術)は通算50例以上の経験が、一定の技量レベルを有する病院の目安になるでしょう」

 一方、直腸がんでは、肛門に近い場合、がんと内肛門括約筋を切除し、肛門を残すISRや、進行直腸がんの骨盤内臓器全摘での他科連携による臓器再建など、特殊な手術がおこなわれるため専門性の高い病院を選ぶ必要がある。手術数の比率を見ると、病院の特色がわかるようだ。

「結腸がんと直腸がんの患者数は、およそ2対1の割合。ランキングの手術数の比率を見て、これより直腸がんが多い病院は、直腸がん手術を得意としていて紹介患者が多く集まっている可能性があります」(大植医師)

◎伊藤雅昭医師/国立がん研究センター 東病院 大腸外科長

◎大植雅之医師/大阪国際がんセンター 消化器外科 主任部長

※週刊朝日ムック「手術数でわかるいい病院2018」から

(文・坂井由美)