IIはその間なので、かなり幅広い。

「IIは軽度認知障害や軽度の認知症がある人、基本的ADLは問題ないけれども、買い物や薬の管理といった手段的ADLにはサポートが必要な人をイメージするといいでしょう」(鈴木医師)

 次に、使っている薬をチェックする。作用が強く、低血糖を起こす恐れがあるのは、注射薬ではインスリン製剤、飲み薬ではスルホニル尿素薬(SU薬)が代表的で、飲み薬の速効型インスリン分泌促進薬(グリニド薬)も含まれる。

 これらを使っていない場合、血糖コントロール目標は、カテゴリーIとIIは中高年と同じ7.0%未満、IIIは8.0%未満になる。

 一方、低血糖を起こす恐れがある薬を使っている人の目標は少し緩く、かつ下限値が設けられている。カテゴリーIは、65~74歳が7.5%未満(下限6.5%)、75歳以上は8.0%未満(下限7.0%)だ。IIは8.0%未満(下限7.0%)、IIIは8.5%未満(下限7.5%)になる。

「下限値を設けたのは、重症低血糖を防ぐためです。例えば、目標が8.0%未満のカテゴリーIIの人が6.0%だったら、一見よくコントロールされているように思えますが、気づかずに低血糖を起こしている場合もあります。下限値を下回ったら、低血糖がないか調べ、薬の量を減らす、薬の種類を変えるなどの調整もします」(荒木医師)

 飲み薬では、SU薬で低血糖が起こる頻度が圧倒的に高い。起こるのは多くの場合、食事をとらないのにいつもどおりに服薬したときだ。薬は食後に血糖値が上がることを見越して処方されているので、食事抜きで普段と同じ量を服用すると、当然ながら血糖値は下がりすぎてしまう。

 SU薬使用者は、食事をしなかったときは普段より服用量を減らすか、飲まないようにする。しかし、インスリン注射を自己判断で中断することは危険だ。薬の調整については具体的な対処法を医師に聞いておく必要がある。

「長年飲んでいる薬の中に、体調を崩して食事ができないときに注意が必要な薬が潜んでいるかもしれません。まずどんな薬を使っているか本人や家族が知り、低血糖を起こしやすい薬だった場合は、食べられないときの適切な対処法を主治医や医療スタッフに確認しましょう」(鈴木医師)

(ライター・竹本和代)

週刊朝日 2018年4月27日号