監督は「フレンチアルプスで起きたこと」で一躍北欧を代表する映画作家になったリューベン・オストルンド。カンヌ国際映画祭を制したのち、数々の映画賞を受賞。アカデミー賞外国語映画賞にもノミネートされた(c)2017 Plattform Produktion AB / Société Parisienne de Production / Essential Filmproduktion GmbH / Coproduction Office ApS
監督は「フレンチアルプスで起きたこと」で一躍北欧を代表する映画作家になったリューベン・オストルンド。カンヌ国際映画祭を制したのち、数々の映画賞を受賞。アカデミー賞外国語映画賞にもノミネートされた(c)2017 Plattform Produktion AB / Société Parisienne de Production / Essential Filmproduktion GmbH / Coproduction Office ApS

 映画「ザ・スクエア 思いやりの聖域」の監督は「フレンチアルプスで起きたこと」で一躍北欧を代表する映画作家になったリューベン・オストルンド。カンヌ国際映画祭を制したのち、数々の映画賞を受賞。アカデミー賞外国語映画賞にもノミネートされた。

 クリスティアン(クレス・バング)は現代美術館のキュレーター。洗練されたファッションに身を包み、そのキャリアも順風満帆に見えた。彼は次の展覧会で「ザ・スクエア」という作品を展示すると発表する。それは現代社会に一石を投じる狙いがあった。

 ある日、携帯と財布を盗まれた彼は、ある行動に出る。一方、PR会社が「ザ・スクエア」について画期的なプロモーションを持ち掛けてくる。それは作品コンセプトとは真逆のメッセージを流し、わざと炎上させて情報を拡散させるというもの。その目論見は成功するが、世間の怒りは想像以上に大きく、彼の社会的地位を脅かすことに。そして携帯紛失で取った行動も思いもしない事態を引き起こす。

■渡辺祥子(映画評論家)
なかなかGOOD!
復讐を他人の手を使ってやらせるなんて最低な奴。それだけで、甘やかされたエゴイストなのが見てとれる主人公が不快。社会的に恵まれ、無意識のうちに特権意識を持つようになった傲慢インテリ男(女も)への痛烈批判。

■大場正明(映画評論家)
超オススメ、ぜひ観て
広がる格差と社会不信、共同体の崩壊と無関心、大衆を煽るメディア。鋭い洞察と痛烈な風刺を込めた話術で、現代社会の実態を炙り出す。私たちは時に挑発的な表現に戸惑いながら、自分を取り巻く世界を見直すことになる。

■LiLiCo(映画コメンテーター)
なかなかGOOD!
かなり濃い一本。人生は思うようにいかない。ちょっとした行動が裏目に出て負のスパイラルが始まる。それをスウェーデンらしいブラックユーモアと笑いで描く。でも伝えたいことは深い。あの上半身裸の男は怖いけど。

■わたなべりんたろう(映画ライター)
なかなかGOOD!
「フレンチアルプスで起きたこと」の監督作品らしく主人公が次々と皮肉な状況に置かれる。部外者には理解しづらい現代アートへの辛らつさが半端なくて小気味良いが、その鋭すぎる切り口にノレるかが分かれ目だろう。

週刊朝日 2018年4月27日号