全国で増え続けてきたマンション。快適なくらしの場となる一方で、新たな課題も増えている(写真は本文と直接関係ありません)(c)朝日新聞社
全国で増え続けてきたマンション。快適なくらしの場となる一方で、新たな課題も増えている(写真は本文と直接関係ありません)(c)朝日新聞社
老朽マンションほど、管理費の滞納が多い(管理費等を3カ月以上滞納している住戸の割合)(週刊朝日 2018年4月27日号より)
老朽マンションほど、管理費の滞納が多い(管理費等を3カ月以上滞納している住戸の割合)(週刊朝日 2018年4月27日号より)
老朽マンションが急激に増える(週刊朝日 2018年4月27日号より)
老朽マンションが急激に増える(週刊朝日 2018年4月27日号より)

 最近の人手不足でマンション管理員のなり手も減っている。都市部で新築ブームが続く一方で、中古物件の老朽化や入居者の高齢化も進むマンション。ゴミ屋敷やスラム化への道が待っている“限界マンション”とは?

【調査結果】管理費等の滞納者はどの位いる?老朽マンションの実態は…

■管理員追い込むモンスター住人

 業者による修繕や整備があれば、受け付けや立ち会いをする。引っ越しシーズンとなれば、運送業者が適切に養生をしているかのチェックも欠かせない。もちろん、住民からの要望や問い合わせにも対応する。管理組合の理事会や総会に出席することもある。

「一般に考えられているよりもずっと重労働で、住人の接し方によってはストレスもたまりやすい仕事です。評価されたり、感謝されたりする機会は少ないのに、少しでも不備があると住人から叱責されることがあります。本来は管理員の仕事でないことについてまでも責め立てられ、やめてしまう人がいます」(不動産コンサルティング会社「さくら事務所」の土屋輝之さん)

 ある業界関係者も、こう明かす。

「最近は『モンスター住人』に悩まされる管理員がいます。精神的に不安定な住人が、何かと難癖をつけて攻撃してくるんです。その物件は管理員を何人送り込んでもすぐにやめてしまう。そこまでひどくなくても、管理員室にいれば『仕事をしていない』と言われ、巡回に出ていれば『いつもいない』と言われる。やりがいを感じる機会が極端に少ない」

 体力的にも精神的にも楽ではない仕事なのに、時給は地域にもよるが1千円前後が相場。決してよくないため、割に合わないとやめる人も少なくないという。

 給与を上げれば、人を集めやすくなるとも考えられる。人手不足感の強い飲食店などはパートやアルバイトの時給引き上げ傾向が顕著だ。しかし、マンション管理員は上がっていないところも多い。

「管理員の報酬の原資は、管理組合が住民から徴収して管理会社に支払う管理委託料です。待遇を改善するには委託料を値上げする必要がありますが、管理組合側からは値下げ要求のほうがむしろ強いです。交渉がうまくいったケースはあまり聞きません」(土屋さん)

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