横山医師もこう話す。「外科医は、紹介してくださる地域の先生方がいてこそ手術ができるのです。お預かりした患者さんを、最善の治療をしてお返ししようと考えています」

 一見、無味乾燥にも見える紹介状だが、医師たちの熱い思いが凝縮されている文書なのだ。

■紹介状にまつわる七つの疑問

 大切な紹介状なのに、患者にはわからないことだらけ。紹介状に関する疑問を、患者目線で聞いてみた。

疑問1 紹介状がないと、大きな病院にかかることはできませんか?

答え 5千円以上の特別料金がかかります

 紹介状がなくても大病院や特定機能病院の受診はできますが、「選定療養費」という名目で病院が定めた額(5千円以上)を支払う必要があります。紹介状がなければ同じ検査をまた受けなくてはならず、時間も費用も余分にかかります。紹介状を作るときにも文書作成費はかかりますが、数百円~3千円程度ですむ場合がほとんどです。(早川医師)

疑問2 紹介先を自分で選べますか?希望の治療法を書いてもらえる?

答え 医師と十分話し合いましょう

 医療情報があふれる時代になったことで、「この病院のこの先生に、この治療法でお願いしたい」と言う方も増えてきました。ご自身の病気に真正面から向き合うことはいいことですが、私も医師として「この先生は信頼できる」という方を紹介しますし、紹介先の先生も患者さんに最良の治療法を提案すると思います。十分話し合いましょう。(早川医師)

疑問3 紹介状がいいと、病院での対応に差がでますか?

答え 特別扱いされることはありません

 紹介元の先生がご高名な方でも、紹介状がどれだけ丁寧でも、特別扱いはありません。医師はどんな患者さんであっても、誠実に力を尽くすものです。ただし、紹介状がわかりやすく作成されていれば、患者さんの状況が把握しやすいので診察がスムーズに進むことは確かです。(横山医師)

疑問4 宛先が空欄でもいいのでしょうか?

答え 大丈夫ですが、あるほうがいいでしょう

 病院名や医師名が空欄であっても大病院を受診することはできますし、紹介元の先生が書いてくれた宛先と別の病院に行くことも可能です。でも、個人的には「横山泰孝先生」と名前が入った紹介状を見ると「自分を選んで、頼ってもらえた」と感じてうれしいですね。宛名があるからといって必ずしも主治医になってもらえるとは限りませんが、気持ちを伝える一助になるとは思います。(横山医師)

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