いつも点数が悪い子が勉強して100点をとった、絵の下手な子が練習して形がとれるようになった、というときに「行為」を褒めることによって、子どもはどんどん挑戦していくようになります。転んでも、成長の仕方がわかっている子は、「もっと勉強すれば大丈夫」と思えるようになります。もともとできることを褒められた子どもは現状を維持しようと努めますから、最終的に、失敗を重ねて成長していく子に抜かれてしまいます。
七浪して理IIIに受かった子が、「6回も受けてダメだったから次もダメじゃないか」という精神をもたなかったのが、かなりすごいことなのはもちろんですが……それを支えた親も相当すごいと思うのです。同級生には、すでに社会に出て働いている人もいるわけですから、いまだ大学に受からず家にいる子どもを見守る親としては「いい加減、別のところを受けて入ってしまった方がラクになるのではないか」という気持ちになると思うのです。そんな中、失敗をして何度も立ち上がるのをずっと見守り続けるには、子どもを信じる心と同時に、相当な忍耐力が必要です。
子どもが賞やいい点数をとったら無条件に褒めてあげたい、沼にハマったときは楽な道を示してあげたいというのが親心ですが、ある意味、それは親の自己満足です。子どもの人生のためには、状況に合わせてグッとがまんすることも必要です。それにより、子どもは何度でも挑戦して、不可能を可能にする「最強の人間」に成長できるわけなのです。いざ実践しようとしても、子どもは「褒めて褒めて」とキラキラした目で見てくるので、なかなか難しいですけどね……。