「そして自分の人生にとってそんなに重要な人ではないのなら、余計な気遣いはやめることです。不用意な言葉で相手を傷つけるのはダメですよ。そんな“知性のないコミュニケーション”はおすすめしませんが、感情を隠して愛敬を振りまく必要はありません。それでその人との縁が終わったとしても『あ、そんなものだったのだな』とすんなりあっさり受け入れればいいんです。だって、済んだことはしゃあないやん」

 外国人の友人から言われた言葉が気に入っている。

「どんなときでもNEXT。もう次や、と。過去を反省せいと言うけれど、反省よりも先に、同じ失敗をしないように、もうNEXTやと。これって、人づきあいにも言えることでしょ」

 とかく日本人は世間体を気にしがち。

「ゆえに自分の周りで何か起きたときには誰かに、何かに責任転嫁したがる。でも以前北欧にロケに行ったときのことです。スタッフがロケ先のお宅のグラスを割ってしまったのですが、その家のおばあちゃんが『あなたたち、ラッキー。グラスがこれから先の悪いことを全部持っていってくれたわ』と言ってくれて。アクシデントに対する発想の転換と『形あるものは皆崩れる』的なあっけらかんとした対応に驚きました。何か言ってももうグラスは元通りには戻らない。ならばもうその先の『未来』を考える。こういう思考法って、やはり気持ちが救われませんか」

(エディター・赤根千鶴子)

週刊朝日 2018年4月20日号