斎藤工 (c)Zhao Wei Films Wild Orange Artists
斎藤工 (c)Zhao Wei Films Wild Orange Artists
映画「ラーメン・テー」の一コマ  (c)Zhao Wei Films Wild Orange Artists
映画「ラーメン・テー」の一コマ  (c)Zhao Wei Films Wild Orange Artists
ベルリン国際映画祭の上映会場に貼られたポスターにサインする斎藤工   (c)Zhao Wei Films Wild Orange Artists
ベルリン国際映画祭の上映会場に貼られたポスターにサインする斎藤工   (c)Zhao Wei Films Wild Orange Artists
(c)Zhao Wei Films Wild Orange Artists
(c)Zhao Wei Films Wild Orange Artists

 斎藤工は俳優だけでなく、映画監督、文筆業など多くの分野で活躍するクリエーティブな36歳だ。ベルリン国際映画祭には新作の出演映画「ラーメン・テー」を引っさげて、共演した松田聖子と参加。現地で斎藤を直撃した。

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──日本とシンガポール、フランスの共同制作、エリック・クー監督の「ラーメン・テー」に出演することになったいきさつは。

「シンガポール映画や彼の作品はあまり日本では見られないのですが、知り合いである別所哲也さんからエリックを紹介されました。彼がシンガポール映画を世界に広めたクリエーターであるということを知り、また彼の映画があまりにも独創的で、大ファンになりました。日本人キャストを探していると聞いてオーディションを受け、幸運にも役をもらいました」

──料理男子だそうですが。

「いや、まだ独り者なので、撮影現場でのお弁当が軸なんですけど。なるだけ自分で作ろうとは思っています。親が料理人なので、それで映画作りと料理が、とても近いような気がしているんです。有名な監督さんは結構料理好きが多く、食材を集め一つの鍋で調理して、最後の味作りが肝だったり、後かたづけが大変だったり。料理は映画作りに似てクリエーティブだと思っています」

──役のために、お料理に磨きをかけたのですか?

「脚本を読んで、ラーメン屋の役なんだということを初めて知り、自分なりに練習しました。自宅でたくさんラーメンを作り、スープを工夫したり麺を作ったりもしました。ラーメン屋さんに見えなきゃいけないと思い、食べ歩きもしました。逆にシンガポール料理のバクテーは、知識をあまり得ないようにしました。シンガポール料理を通してシンガポールという国を知っていく、という役だったので、最初は無知であったほうが良いかなと。自分の中に徐々にシンガポールという風が吹いていくというふうにしたかったからです」

──シンガポールでの撮影の体験はいかがでしたか?

「1カ月ほどシンガポールに滞在しました。労働組合があるので、10時間以上の撮影はできないんです。スタッフと一緒に食事に行ったり映画を見たりする時間もあって、若いスタッフは隙間の時間を使って自分の映画を作っていたりして、その経験を逆に現場に持ち込むという、とても健康的な環境であると思いました。日本もこうやらないと、クリエーティブになっていかないな、と感じました」

──共演の松田聖子さんとのシンガポールロケはいかがでしたか?

「聖子さんは後半の撮影に参加されました。シンガポールに行く前に、日本で脚本読みをしたんです。聖子さんは、食ブロガーの美樹役で、僕を精神的に導いて助けてくれる役柄なんです。ファンとして彼女の声に聞き馴染みがあったので、彼女の声を聞いた瞬間に、自分の中に欠落している部分や他人に隠している部分を温められるような気持ちになりました。この人には理由もなく自分の本音が話せる、ゆだねられる人だなあ、という気持ちになりました。なぜか懐かしくもあり、彼女の声でなかったら、そこまで感じていなかったのではないかと思います。お互い役の上で本当に腹を割る関係なんです。なので本音をぶつけあえたかな、という気持ちです」

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