つまりは、適度に長いものに巻かれることは仕方ないし、大事なことじゃないかとすら思う。

 ただし、長いものに巻かれまくり、自分が上に上ることだけを考えてしまう人もいる。最初はそんな人間じゃなかったとしても、人は変わっていく。見事にダース・ベイダーになってしまう人も少なくない。自分で自分のことってわからないもんですよね。自分がどれだけ変わったかなんて気づけたら、そんな人は変わらないだろうし。

 そんなときに、奥さんである。先ほどの奥様が、常にチェックし、時折それを口にすることで、必要最低限で止まるはずである。

 僕も2年に一度ほど、妻に大きな爆弾を落とされる。それでハッと目がさめて、自分の立ち位置がわかったり、ズレていることがわかる。

 人間ドックが体の診断をしてくれるところであるなら、妻は夫にとっての人間性ドックでいてくれるのが一番ありがたいのだろう。

 それは夫婦ともにそうだと思う。夫も妻にとっての人間性ドックでいられたら、また素晴らしい。安倍首相に昭恵さん。お互い、人間性ドックをしてみるのもいいかもしれない。

週刊朝日 2018年4月13日号

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鈴木おさむ

鈴木おさむ

鈴木おさむ(すずき・おさむ)/放送作家。1972年生まれ。19歳で放送作家デビュー。映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍。

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