「私がキーマンと見ているのは、国有財産審理室長だった田村嘉啓氏です。本省で契約交渉の詳細なやり取りを把握し、迫田局長に報告する立場にあったからです。佐川氏は証人喚問で本件を『大変難しい案件だった』と本音をポロリとこぼしています」(逢坂氏)

 田村氏は15年11月、籠池泰典氏の依頼を受けた昭恵夫人付職員の谷査恵子氏の照会に対応した人物だ。田村氏は翌年3月、森友学園への土地の貸し付け契約について、籠池氏との面会時に「特例」と認めている。

 一方の谷氏は、騒動後、在イタリア日本大使館の1等書記官に栄転。谷氏は現地で朝日新聞の取材(3月27日)に応じ、昭恵氏の指示は「なかった」と語った。

 だが、元経済産業省職員で、全経済産業労働組合副委員長の飯塚盛康氏が言う。

「国家公務員である谷さんが、個人の判断で格上の田村室長に問い合わせるはずがない。谷さんに指南した人物は、同じ経産出身の今井首相秘書官と考えるのが自然でしょう」

(本誌・上田耕司、小泉耕平、亀井洋志、森下香枝/村上新太郎)

週刊朝日 2018年4月13日号

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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