こう話すのは、国立国際医療研究センター呼吸器内科診療科長の杉山温人医師だ。同科では全国に先駆けいち早くこの治療法を導入。18年2月末現在で、27人に実施した。

 喘息患者の気道は、炎症が慢性的に続いて過敏性が高まっているため、ホコリやダニ、たばこ、ストレスなどの刺激に反応しやすい。その結果、呼吸困難や激しい咳、喘鳴などを伴う喘息発作を起こしてしまう。

「問題なのは、発作を繰り返すたびに、気道を収縮させる平滑筋が厚くなること。気道が狭いまま元に戻らなくなるので、重症化につながります。気管支サーモプラスティ治療は、熱を加えることでこの平滑筋を薄くし、過敏性を抑えます」(杉山医師)

 治療は、まず静脈麻酔か全身麻酔をした後、内視鏡を気管支の中に挿入。内視鏡の先端から電極の付いた細い管(カテーテル)を出し、高周波電流を10秒間流す。これにより気道が約65度に温められる。5ミリおきに場所をずらして通電し続け、1時間ほどで終了だ。

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