世界大学ランキング日本版2018の結果を説明するベネッセグループの担当者(撮影/中川透)
世界大学ランキング日本版2018の結果を説明するベネッセグループの担当者(撮影/中川透)
教育成果が高い慶應、国際性が高い早稲田(「THE 世界大学ランキング日本版」から作成)
教育成果が高い慶應、国際性が高い早稲田(「THE 世界大学ランキング日本版」から作成)

 英国の教育専門誌THEの「世界大学ランキング日本版2018」が28日発表され、昨年11位だった慶應義塾大学が10位に、昨年10位だった早稲田大学が11位になり、順位が逆転した。ランキングから浮かび上がる両校の強みと弱みを比べると……。

【図表で見る】教育成果が高い慶應、国際性が高い早稲田

 THE(タイムズ・ハイヤー・エデュケーション)社は昨年、日本のベネッセグループと協力し、日本版を初めて作った。これまでの世界大学ランキングが研究力中心の評価だったのに対し、教育力を測ることを重視している。

 昨年のランキングの総合指標で、早稲田は75.9(10位)、慶應は75.4(11位)と拮抗していた。今年は慶應77.7(10位)、早稲田77.5(11位)とわずかな差で逆転。何が両校の違いを生んでいるのだろうか。

 ランキングは4分野13項目の評価に基づいて作成されている。「教育リソース」の分野で両校を比べると、昨年も今年も慶應が上回った(グラフ参照)。この分野は学生1人あたりの資金・教員比率などの項目の指標で計算されている。医学部を持つ大学が、上位になりやすい指標だ。

「国際性」の分野は、早稲田が2年連続で慶應に勝った。外国人学生や外国人教員の比率などの項目を評価。早稲田は国際教養学部の創設などで国際化を進めてきており、この分野で慶應を一歩リードのようだ。ただ、慶應は昨年から今年にかけて国際性の指標が大きく上昇し、早稲田との差をつめている。

「教育満足度・充実度」の分野は、高校教員の評判調査に基づく。グローバル人材育成と入学後の能力の伸びの2つの項目について、全国約2400校の進路指導担当者が回答。この分野は両大学ともに互角(グラフ)で、手堅い評価を受けた。

「教育成果」の分野は、企業や研究者からの評判に基づく指標。企業からの評判は、人事担当者に大学のイメージを尋ねており、847社が回答している。

 慶應はこの分野で、2年連続で早稲田を上回った。OB組織「三田会」の強固な結びつきで知られる慶應。教育成果の指標に絞ったランキングでは、1位東大、2位京大、3位九州大に続いて、4位につけた。

 THEは、4分野と総合指標の計5つのランキングを、上位150大学ずつ公表している。総合1位は、京大(昨年3位)と東大(昨年1位)がともに87.7で並んだ。上位30大学は以下の表の通り。(本誌・中川透)

■「THE世界大学ランキング2018」の総合順位(=は同順位を表す)

順位(昨年)  大学名/総合指標
=1(3)   京都大学/87.7
=1(1)   東京大学/87.7
 3(2)   東北大学/86.3
 4(=4)  東京工業大学/85.6
 5(7)   九州大学/85.0
 6(8)   北海道大学/83.4
 7(=4)  名古屋大学/82.6
 8(6)   大阪大学/81.1
 9(9)   筑波大学/80.8
 10(11)  慶応義塾大学/77.7
 11(10)  早稲田大学/77.5
 12(20)  国際教養大学/76.1
 13(12)  広島大学/75.7
 14(14)  一橋大学/75.2
 15(18)  上智大学/73.1
 16(15)  国際基督教大学/71.4
 17(27)  東京外国語大学/71.0
 18(13)  神戸大学/70.7
 19(16)  千葉大学/70.5
 20(19)  金沢大学/69.8
=21(17)  長岡技術科学大学/68.5
=21(=24) 立命館アジア太平洋大学/68.5
 23(22)  立命館大学/68.1
 24(=28) 九州工業大学/66.3
=25(21)  岡山大学/66.1
=25(33)  横浜国立大学/66.1
 27     立教大学/65.8
 28(35)  同志社大学/65.5
 29(=31) 東京農工大学/64.8
 30(=31) 東京理科大学/64.6

※週刊朝日オンライン限定記事