明治も1月に大規模な投資を発表した。約270億円を使って、埼玉県の坂戸工場や大阪工場で製造ラインを増やすことを検討している。広報担当者は「豆やローストにこだわりのある商品をつくっていく」としている。

 不二家でもチョコ市場が伸びているのを好機ととらえ、シェア拡大を目指す。ホームパイにチョコをかける商品では、秋に設備投資を計画しているという。

 大手各社が軒並み生産能力を増やすなか、商品の付加価値を高める戦略なのが江崎グリコだ。広報担当者は市場で販売単価が上がっているとして、「現状の設備能力で量よりも質で勝負する」と話す。健康志向の商品は中高年の女性などに評価されていて、手ごたえを感じているという。カカオや砂糖などの原材料は値上がりしていて、付加価値の高い商品で採算性を向上させる狙いもありそうだ。

 生産量を増やすにしろ、付加価値を高めるにしろ、どうやって買ってもらうかが勝負になる。もともとチョコの商品数は多い。原料の扱い方にも各社が工夫を凝らしており、風味や味わいなどはさまざま。ガーナ産のカカオ豆をベースにした商品が一般的だが、最近は別の産地のカカオ豆を使い、豆の焙煎(ばいせん)などにもこだわることで、独特の風味や酸味、苦みなどを出そうとしている。

「健康志向といったニーズをうまく掘り下げるマーケティングが大事になる。広告やキャンペーンでいかに消費者にアピールできるかが、販売動向の決め手になる」(業界関係者)

 一方で注意点も指摘されている。健康効果をうたったチョコについて、国民生活センターは食べすぎて脂質の過剰摂取にならないよう呼びかけている。健康な人が嗜好品(しこうひん)として楽しむ分には問題ないが、カフェインなど生理作用のある成分に敏感な体質の人については、摂取量に注意することも必要だとしている。

 戦国時代を制するのはどこか。メーカーにとって生き残りをかけた勝負で、新しい商品が今後も登場しそうだ。私たち消費者にとっては、おいしいチョコがより身近になるチャンスでもある。(本誌・浅井秀樹)

週刊朝日  2018年4月6日号