一緒に楽しんでいる、と感じているのは、実は大人だけなのだ。

 ネット依存はなぜ起こるのか。

 世界保健機関(WHO)は今年、ゲーム依存を初めて「病気」と定義する方針を示した。そもそも依存症とは、どういう病気なのか。WHOの専門家諮問委員として、ゲームやネット依存の深刻さを訴えてきた国立病院機構・久里浜医療センター(神奈川県)の樋口進院長がこう説明する。

「成功体験や高揚感を感じると、快楽を感じるドーパミンという物質が脳の深部にある報酬系と呼ばれる神経系に分泌される。この報酬体験の頻度が多くなると、脳は快感を感じにくくなる。するとさらに強い刺激を求め、回数や量が増える。ゲーム依存はアルコールやギャンブル、薬物などへの依存と同様に、対象物への衝動が抑えられなくなる病気です」

 WHOはなぜゲーム依存を病気だと認めたのか。

 上の画像は台湾のChinーHung Ko氏の論文に掲載された。ゲーム依存の子どもに、オンラインゲームの画像や広告を見せたときの子どもの脳の画像だ。「報酬系」に関わる脳の部位が強く反応している。これはアルコールやギャンブル依存の脳と同じ反応で、ゲーム依存が「依存症」であることを示す証拠の一つなのだ。

 樋口院長が続ける。

「WHOの定義がゲーム依存にとどまったのは、研究によるエビデンスがゲーム分野以外は不十分だからです。ネットのアプリには、その他、SNS、動画、特にポルノ関連の動画、電子掲示板など様々あります。今後、これらの依存に関するエビデンスが蓄積されれば、疾病として認められていくことになるでしょう」

 樋口院長は、ネット依存の恐ろしいのは、年齢制限がない点だと指摘する。

 一般に依存症は、開始年齢が早ければ早いほど、将来そのリスクが高くなる傾向がある。アルコールやたばこ、ギャンブルは法律上、成人しなければ手を出せない。だがネットはそれこそ0歳の赤ちゃんから、お年寄りまで全ての層に依存の危険があるのだ。

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