室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。自らの子育てを綴ったエッセー「息子ってヤツは」(毎日新聞出版)が発売中
室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。自らの子育てを綴ったエッセー「息子ってヤツは」(毎日新聞出版)が発売中
(c)小田原ドラゴン
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 作家の室井佑月氏は、心のこもらない言葉ばかりの安倍首相に苦言を呈する。

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 3月10日付の毎日新聞(電子版)によると、「安倍晋三首相は10日、学校法人『森友学園』への国有地売却に関する決裁文書が書き換えられたとされる疑惑について、『財務省において(大阪地検の)捜査に全面的に協力をする一方、文書の有無を明らかにするために全力を挙げなければならない』と述べた」。福島県にて。

 翌日で東日本大震災から7年だから、安倍首相は被災地の視察にいっていた。森友の話は記者の質問から出て来たもので、

「少しでも多くの家族の皆さんが帰還できるようきめ細やかな支援をしていく」

 とお決まりの言葉を述べにいったのだった。

 どちらの言葉も心がまったくこもっていない。

 安倍首相の心の言葉とあたしが感じるのは、国会で逆ギレし質問と関係ないことをだらだらまくし立てるときと、これまた国会で野党にヤジを飛ばすときくらい。思う通りにならなくてイライラしてるんだな、と伝わってくる。もちろん、そんな子どもじみた発言まで官僚が用意しているわけじゃないから、それらは安倍さんの心の声なのだろう。

 それにしても森友問題、9日に、決裁文書に直接関わったとされる財務省近畿財務局の職員が自殺したというニュースが流れ、同日、財務省理財局長だった佐川前国税庁長官が、国税庁長官を辞任した。

 10日、決裁文書の書き換えを財務省が認める方針を固め、このコラムを書いている11日、毎日新聞(電子版)には、「森友文書 財務省書き換え、佐川氏が指示 12日国会報告」という記事が載っていた。

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室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

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