70歳を迎えた梶芽衣子。唯一無二の存在が人びとをひきつけてやまない。(c)朝日新聞社
70歳を迎えた梶芽衣子。唯一無二の存在が人びとをひきつけてやまない。(c)朝日新聞社

「芽衣子さん、カッコイイ!」

 ひときわ大きな声援を送るのは、1970年代の映画「女囚さそり」シリーズで知られる梶芽衣子の女性ファン。往年の中高年男性ファンに混じって外国人や、幅の広い帽子に黒のトレンチコートを身にまとい、「さそり」のコスプレをした若い女性の姿も。

 梶は、43年ぶりのオリジナルフルアルバム「追憶」を発表、3月13日、それを記念したライブを東京・新宿で開催した。現在70歳。国籍、年齢、性別を超えて、人びとを魅了する理由は何なのか――。

 梶は、「野良ロック」「鬼平犯科帳」シリーズなどに出演し、歌手としても活動。クエンティン・タランティーノ監督が梶の大ファンで、映画「キル・ビル」で彼女の曲「修羅の花」「怨み節」を使用したことでも知られる。

 新作ではこれまでとは雰囲気を変えて、ロック調のアプローチに挑戦した。ステージでは5人編成の若手バンドをバックに、存在感ある声と凛とした立ち姿で熱唱。若いときは激しい曲で、次第に齢を重ねると「枯れていく」のが歌手としては一般的だが、梶はちょっと違うようなのだ。
「私の場合は逆ですね」

 ステージでは持ち歌の怨み節も披露。それも、新作に収録されているアレンジで、ハードなロック調の曲に生まれ変わっていた。

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