──どんなバスケを目指しますか。

 常に先手を取り、最後まで攻め抜くバスケットを目指します。世界ではリングの上での攻防が勝敗を決する。その高さにも対応する必要があります。小柄な日本人ならではのスピードで立ち向かえばなどと言われますが、男子については、それを目指してこれまで結果を出せなかった。“ニンジャバスケ”では今は勝てないんです。

──高さの課題をどう克服するのでしょうか。

 世界のトップのほとんどが身長2メートル級。ジュニア世代の高身長の選手を集めて強化に乗り出していますが、それでは東京五輪には間に合わない。しかし、海外に目を向けるとゴールデンエイジといえる若手が育っています。リングの上で勝負できる2メートル超の選手が3人も。

──その3人というのは。

 206センチの渡辺雄太(ジョージ・ワシントン大)、203センチの八村塁(ゴンザガ大)、207センチの渡辺飛勇(ポートランド大)。これまでも高身長で黄金世代と呼ばれる選手はいましたが、何が決定的に違うかといえばジャンプ力。そして、本場アメリカでプレーすることで、トップレベルを肌で感じている。これまでこちらからノックするしかなかったNBA(米プロバスケットボール協会)の世界ですが、彼ら、特に八村に関しては向こうからノックしてくるくらいです。NBAで活躍するスターが誕生することも、日本バスケを盛り上げるには不可欠だと思っています。

 彼らがこのタイミングで台頭してきたことを生かさない手はない。バスケ界は急速に変化しています。その変化に合わせて、新しい力が台頭した今こそ、「バスケット維新だ」と私は声をあげているんです。明治維新の立役者である坂本龍馬も、力に加えて運もなければ偉業はなされなかった。

──タイミングと素材がそろい、「維新」の好機だと。

 食材がそろわなければ料理はできない。これまで準備を着々としてきて、食材はそろってきた。あとは、どう料理するかなんです。強化の方向性は間違っていないと思っています。

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