そんな中、圧倒的人気を誇るのがハウス食品の「カリー屋カレー(※)」シリーズ。

「数あるレトルトカレーの中でも圧倒的なシェア。具材も豊富で研究しつくされたスパイスなどの味のバランスはパーフェクト。実売価格も100円前後と、少量生産では考えられないコストパフォーマンスも大きな魅力です」(同)

 現在、市場に出回るレトルトカレーは、大きくこのように区分できる。

〈「カリー屋カレー」「カレー職人」など100円前後の商品〉

〈「ボンカレー」「ククレカレー」など定番の200円前後の商品〉

〈「名店系」。300~600円台の商品〉

〈ご当地カレーや1千円ほどする高級路線商品〉

 名店系では、エスビー食品の「噂の名店シリーズ」が、人気店の味を家庭で再現できると人気。また、「カレー・オブ・ザ・イヤー2018」のレトルトカレー部門を受賞したのが、中村屋(東京・新宿)の「純欧風ビーフカリー」シリーズ。シリーズの中の「あいがけ」は、2種類の味を同時に味わえる面白さが評価された。井上所長に他におすすめを聞いてみたところ、もうやんカレーやデリーの名を挙げてくれた。

 ご当地系では「JA東京むさし」のオリジナルブランドによる「野菜を主役にしたカレー」にも注目だ。ジャガイモ、タマネギ、ニンジンなど“主役”の野菜はすべて管内の農家産。現在は品切れ中ということで、今回は番外扱いとした。JA東京むさしによると、新しい野菜が収穫される夏ごろに再登場の予定だ。

 レトルトカレーをよりおいしく楽しむために〈可能であればレンジよりも湯せん〉〈温めた後に、よく振ってから開封する〉と、二つのポイントを井上所長は教えてくれた。

「長期保存によって脂が分離することもあります。なるべくできたての状態に戻してあげることを心掛けるわけです」

 普段はスパイスからカレーを作って食べているというカレー通で、『旨い!家(うち)カレー』というカレーレシピ本まで著したミュージシャン・小宮山雄飛さんも、近年のレトルトカレーの進化ぶりに驚くことがある。

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