「ソウルで三池淵(サムジヨン)管弦楽団の公演での歓談で、帰国を前にして与正氏は別れを惜しむように文氏の手を両手で握りました。その映像は韓国国民に強烈なインパクトを与えました」(裵氏)

 文政権の北朝鮮に対する融和政策に対し、国内外のメディアから少なからぬバッシングが起きていた。だが、韓国と北朝鮮の国民はもともと同胞なのだ。

 裵氏が続ける。

「この感覚は日本など他国からは理解しにくいかもしれません。けれども、同じ民族としてのアイデンティティーの部分は、いかに北朝鮮を毛嫌いしてきた韓国の保守勢力といえども同調するはずです。与正氏というベールに包まれた金氏の妹が訪韓し、同じ言葉をしゃべる。国民感情として同胞意識を肌で感じるわけです」

 制裁一辺倒の日本は、蚊帳の外に置かれていくのか。(本誌・亀井洋志)

週刊朝日 2018年3月23日号