アルバムを締めくくる「IN JAPAN!」は和風テイストのディスコ・ロック・ナンバー。“nuts are so bad”と歌詞は英語だが“夏はそば”と聞こえる“空耳アワー”的な歌詞の、楽しくて笑えるナンセンスなコミカル・ソングだ。

 歌うのはイリアと歌詞を共作、作曲を手がけたTAKAのようだ。そしてイリアはエレキ三味線を披露。イリアは鼓絆(COHAN)という和太鼓のバンドへの参加をきっかけに三味線を習いはじめ、すでに3年あまりだとか。

 本作についてイリアは“色々なタイプの曲が入った自信作です。新生ジューシィ・フルーツの酸いも甘いもかみ分けた味を楽しんでください”とコメント。

 ともあれ、ジューシィ・フルーツならではのコミカルでユーモラスな歌詞や、多様な音楽展開で存分に楽しませてくれるアルバムだ。バンドのアンサンブルの見事さもさることながら、ミニ・スカートにハイヒール・ブーツ姿でギターを抱えたイリアのさっそうとした立ち姿、甘くキュートで妖艶な歌声に悩殺される。(音楽評論家・小倉エージ)

●『BITTERSWEET』(ビクター VICL-64913)

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小倉エージ

小倉エージ

小倉エージ(おぐら・えーじ)/1946年、神戸市生まれ。音楽評論家。洋邦問わずポピュラーミュージックに詳しい。69年URCレコードに勤務。音楽雑誌「ニュー・ミュージック・マガジン(現・ミュージックマガジン)」の創刊にも携わった。文化庁の芸術祭、芸術選奨の審査員を担当

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