血管にかかわる数々の病気の元凶(※写真はイメージ)
血管にかかわる数々の病気の元凶(※写真はイメージ)
血管力を高める7カ条(週刊朝日 2018年3月16日号より)
血管力を高める7カ条(週刊朝日 2018年3月16日号より)

 血管にかかわる数々の病気の元凶は、動脈硬化と呼ばれる血管の老化現象だ。

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 理想的な血管はしなやかで内側はきれいな状態だが、動脈硬化が進むと血管壁が厚く硬くなるだけでなく、内側に汚れがたまり、血液がスムーズに流れなくなる。循環器疾患が専門の河野宏明医師(本大学大学院生命科学研究部教授)は言う。

「動脈硬化は血管の病変ですが、血液の質が深くかかわっています。血液の質が悪いと血管が傷み、血管がいい状態でないと血液の質も悪くなる。両者をセットで考える必要があります」

 動脈硬化はどのように進行していくのか。

 高血糖の血液や高血圧などの刺激で血管の内側にある内皮細胞が傷つくと、そこから血液中を流れる余分なコレステロールが血管壁の中に入り込む。血管内を流れている白血球の一種(マクロファージ)はこれを処理しようと自分も血管壁内に入り込み、血管壁にはコレステロールに由来する脂質と白血球の残骸がたまって、「プラーク」というお粥のようなかたまりを形成する。プラークは徐々に大きくなり、血管壁は厚みを増して、血液の通り道は狭くなっていく。

 プラークが形成される過程で、血管内皮細胞にもさまざまな障害が起き、血のかたまりができやすい状態になる。プラークに血流などの刺激が加わって剥がれると、その傷を修復するために血小板が集まって血栓をつくる。これが血液の中を流れて血管を詰まらせる原因となるのだ。

 しかし、血管と血液が健康なら血栓をつくる働きとともに血栓を溶かす働きも備えられているので、不要になった血栓は溶かされ、詰まることはない。

「血管は日々、血流によって傷つけられ、その傷を修復するために血が固まる作用も必要ですし、傷が治ったあと血液中に剥がれ落ちた血栓が血管に詰まらないように溶かす作用も必要。必要に応じてその働きを使い分けています。しかし動脈硬化が起きた不健康な血管は『固める・溶かす』のバランスが崩れているので、血栓が残りやすいのです」(同)

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