二刀流でメジャーでも成功するためには、いきなり結果を求めすぎないこと。短絡的に何かを修正しようとすれば、どこかでひずみが出る。そのあたりはマイク・ソーシア監督も熟知しているだろう。何十億円もの年俸をもらっての入団ではない。来年、再来年にステップアップできる土台作りという大きな視点で起用するだろうし、少しでも投打のバランスが崩れるのなら、シーズン中に、どちらかに専念させるといったことも考えていると思う。日米で大きな関心と期待を背負っている選手だから、首脳陣がどこまで慎重に、そして時に盾になれるか。日本ハムの栗山英樹監督がそうだったようにね。

 打撃のほうは、体に近い位置にミートポイントを置き、逆方向にも大きな当たりを打てる選手だから、手元で鋭くボールが動くメジャー投手への対応も慣れてくれば大丈夫。元々、内角球を怖がる選手ではないが、メジャーの内角のストライクゾーンは広くない。思い切って踏み込めるはずだ。ただでさえ移動も多く、米国内の時差も存在する。大谷にはじっくりと歩を進めてほしい。

週刊朝日 2018年3月16日号

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東尾修

東尾修

東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝。

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