産経新聞に事実関係の確認を求めたが「第三者とのやり取りについてはお答えできない」との返事だった。

「原発推進で美しい国土を守り強い国家を実現できるのか。保守の立場こそ原発即時ゼロを主張すべきだと思います」と吉原氏はいう。

 政府内でも、再生可能エネルギーを軸にする「脱炭素外交」を外務省が打ち出した。河野太郎外相が、内閣の立場から外れない範囲で脱原発の布石を打った、という見方がある。

 安倍政権5年で進む経産省支配。その一丁目一番地が原発推進で、象徴が日立の英国原発事業だ。賢明な中西氏は、原発に事業性がない、と気づいているのだろう。だが日立が英国の事業を断念したら、脱原発の流れは決定的となり、原発に群がる企業は衰退する。

 復活した原子力ムラが政権を抱え込み、再生可能エネルギーの分野で日本は決定的に後れをとった。日本のモノづくり技術が生かされる産業なのに、旧体制の原子力ムラがその座を譲らない。そして国民はリスクと膨大なコストを背負わされている。危機感は保守層にも伝わり、小泉氏や河野氏が動き始めた。

 安倍政治に終止符が打たれるまで、日本は世界の潮流に沿うことはできないのだろうか。

週刊朝日 2018年3月16日号