制度ができてすぐは、記録を狙うと手をあげる選手が出てこなかった。

「ただ、実際に設楽選手が褒賞金を手にしたことで、現実感が出ました。これから新たな選手が出てくることに期待できますが、はたしていつまでこの制度は続けられるのか、記録更新するたびに払い続けられるのか、そこは疑問ですね」(宗さん)

 同連合の資金が続く限り、東京五輪直前まで制度は有効のようだ。プロジェクト事務局担当者は言う。

「この制度がカンフル剤になって記録につながった。ひとまずは成功ととらえています。東京五輪のマラソンでメダルを取ってもらうことが一番の趣旨。さらに記録更新する競技者が出てくることを期待します」

“エサ”をぶら下げての強化策は本当の成功をつかめるのか。その答えは東京五輪の表彰台の上にある。(本誌・秦正理)

週刊朝日 2018年3月16日号

著者プロフィールを見る
秦正理

秦正理

ニュース週刊誌「AERA」記者。増刊「甲子園」の編集を週刊朝日時代から長年担当中。高校野球、バスケットボール、五輪など、スポーツを中心に増刊の編集にも携わっています。

秦正理の記事一覧はこちら