「自分が興奮しているなと感じたら、普段よりも低い声で話すように心がけましょう。相手にはちょうど聞きやすいトーンになるはずですよ。また怒りを伝えるときに、腕組みは禁物です。腕組みは相手を拒否するような態度ですから、相手にイライラが伝わってしまいます。互いに不快な思いをせずに話を進めていくには、意識して冷静さを演出することです」

 そしてもうひとつ大事なこと。それはその時々で言うことを変えないことだ。

「たとえば会社で『毎日自分のデスクは整理整頓』『遅刻はしない』など、職場を管理する側として何か方針があったとしましょう。その方針を守らなかったときに怒られるのは、相手も納得がいくと思います。しかしあるときは怒られない、あるときは怒られる、と態度がぶれてしまうと、ただの“気分次第で怒る人”と思われてしまいます。怒るなら、話に一貫性を持たせて」

 たとえば「待ち合わせ場所には10分前に行ってスタンバイしておく」といった方針があるなら、それを繰り返し相手に伝えることは問題ない。時間に厳しい人だという印象は持たれるかもしれないが、そのルールがぶれなければ、周囲にはわかりやすいので、人からは信頼される。以上の6つのルールを意識しながら、怒りのコントロールを日々反復練習していく。そうすれば、怒りに振り回されることも少なくなり、人生の効率もアップする。

「怒りというものは人生を破壊しかねません。それは肝に銘じておきましょう。怒りによってとっさに発した言葉が、それまで積み上げてきた人間関係、信頼関係、キャリアをすべてゼロにしてしまう可能性もあるのですから。日々アンガーマネジメントしながらも、ストレスがたまってきたら、軽めの運動や趣味の世界で発散することです」

 アンガーマネジメントの観点からすると、グチややけ酒によるストレス解消はNGだ。なぜか?

「グチは口にするたびに怒りを思い出し、嫌な記憶を脳に定着させてしまうからです。嫌な思いは自分から再現しないことですね」

【上手な怒り方・6つのルール!】
1.自分のリクエストをシンプルに、明確に伝える
2.「あなた」ではなく、「私」を主語にして伝える
3.過去の話題を持ち出さない。「前も」「いつも」はNGワード
4.程度言葉で伝えず、6W3Hで具体的に伝える
5.低いトーンでゆっくり話す
6.その時々で言うことを変えない

(エディター・赤根千鶴子)

週刊朝日 2018年3月9日号