三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は昨年11月発表の23年度までの経営計画で9500人分の業務量削減を目指し、うち6千人程度は自然減で対応する。自然減分を差し引いた業務量削減分の3500人相当は成長分野などへ人材投資する計画だ。

 三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)は昨年5月に発表した3カ年の中期経営計画で、4千人分の業務量削減を打ち出した。店舗改革や作業効率化などが柱となる。中期計画後に海外部門などで人員を増やすのか、減らすのか、未定としている。

 3メガでみずほ以外は人員リストラを計画していないというが、実施の可能性はある。正規に比べ雇用期間など身分が不安定な非正規従業員が金融機関には多く、今後継続雇用されるかが焦点だ。4月からの法改正で、有期雇用の従業員は5年を経て自ら申し出ると無期雇用に転換できる。

 有価証券報告書によると昨年3月末の証券などを含めたMUFG全体の従業員は11万5275人、ほかに嘱託7100人と臨時従業員2万8600人がいる。SMFGの同期の従業員は証券などを含め7万7205人、このほか嘱託・臨時従業員が1万9432人いる。

 3メガについて、元行員は「一般企業と違い、毎年リストラしているようなもの」と話す。大手行では定年が60歳ながら52、53歳で取引先などへ出向し、1年の猶予期間後は出向先に再就職する慣行がある。

 冒頭の元行員は、出向前に現職のままの人と検査関連業務など待機ポストに移る人に分かれるとし、「検査などに移ると給料が下がり憂うつになることがある」と話す。「出向先が銀行関連企業なら直前に知らされ、融資・取引先なら2、3カ月前に面接がある」という。

 転出先として銀行関連企業は数が限られ、「給料がすごく下がることがある」が、「クビにはならない」と元行員は語った。

 一般の企業の場合は「クビになったり、給料を下げられたりすることがある」が、「偉くなる人もいる」と話す。

 コンサルタントの秋山氏は銀行業界の正社員についても「かつてのようにグループ会社や取引先に引き受けてもらう余裕がなくなってきている」と指摘する。実際、「メガバンクからの人材流動化は始まっている。昨年後半から転職希望者が増えている」と話す。(本誌・浅井秀樹)

週刊朝日  2018年3月9日号より抜粋