[ラーメン食いてぇ!」の舞台挨拶の最後に、ラーメンを食す、熊谷祐紀監督、中村ゆりか、林明輝さん(左から)(撮影・大塚淳史)
[ラーメン食いてぇ!」の舞台挨拶の最後に、ラーメンを食す、熊谷祐紀監督、中村ゆりか、林明輝さん(左から)(撮影・大塚淳史)
映画「ラーメン食いてぇ!」完成披露試写会で、舞台あいさつをする主演の中村ゆりか(撮影・大塚淳史)
映画「ラーメン食いてぇ!」完成披露試写会で、舞台あいさつをする主演の中村ゆりか(撮影・大塚淳史)

 ラーメン映画が次々と公開されている。千葉県松戸市の人気ラーメン店「とみ田」を1年にわたって追い続けたドキュメンタリー映画「ラーメンヘッズ」が1月27日から公開され、人気ウェブ漫画の実写映画「ラーメン食いてぇ!」も3月3日から公開される。さらに、シンガポールの有名監督が斎藤工を主演に起用し、群馬県高崎市を舞台に制作した「ラーメン・テー(仮)」は2018年に公開予定(シンガポールでは3月29日に公開)だ。

【写真】斎藤工もラーメン映画に…

 「ラーメン食いてぇ!」の完成披露試写会が2月21日、東京都内であり、主演の中村ゆりか、谷祐紀監督、原作者の漫画家・林明輝さんが舞台あいさつに立った。人気ラーメン店「清蘭」の店主・紅烈士(石橋蓮司)、その孫娘・紅茉莉絵(中村ゆりか)を中心に、ラーメン作りに没頭する姿や人間模様を描いた作品。中村はラーメン職人さながらのシーンに挑戦した。

「たくさん練習しました。特に大変だったのは、麺を切るところのほか、スープに入れる豚ガラとか豚足をバールでたたき割るところや平ザルで麺を返すところは、力を入れすぎてもいけず、力加減が難しかった」

 漫画家の林さんは、10年前に高崎市にある実家のラーメン店(現在休業中)を訪れた時、父親からラーメンについて話を聞いて、この漫画を思いついたという。

 実写化にあたり、林さんは「主人公・茉莉絵のキャラクターが、食の細い美少女という設定だったんですが、中村ゆりかさんが見事に演じてくれました。漫画にウイグル自治区のシーンがあるのですが、わざわざキルギスまでロケをしてくれるとは思わなかった」と製作スタッフのこだわりに感謝していた。

 それにしても、なぜラーメン映画が立て続けに公開されているのだろうか。映画評論家の平野秀朗さんは、こう分析する。

「ラーメンの映画といえば、伊丹十三監督の『タンポポ』(1985年)が有名で、マカロニウェスタンならぬ“ラーメンウェスタン”を切り開きました。そこから時代が変わり、世界中で日本のラーメンが認知されました。映画ビジネスでは、人が求めているもの、はやりのものを取り入れるのが基本。人気アイドルがいれば、主演にして映画を撮る。車好きが多ければ、車をたくさん出して映画を作る。お客を呼ぶために努力するのが映画です。そういった題材の一つに、ラーメンがなりうる時代がきたということです」

 『タンポポ』以降、記者はラーメン映画に遭遇した記憶はないが……。

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ハリウッドでもラーメン映画が…