従来の概念から離れると、意外なところに商機が眠っているもの。季節に限らず、物やサービスの対象の性別が逆転する逆転消費が目立っている。

 例えば、筋トレ。ひと昔前はハマるのは男性が圧倒的に多かったが、最近は女性でストイックなトレーニングに夢中になる人が増えている。インスタグラムの投稿で16万件超に上るのは、「#腹筋女子」のハッシュタグをつけた投稿。女性が割れた筋肉やトレーニングの様子を誇らしげに公開している。

 都内のIT企業に勤める古田由里子さん(36)もその一人。古田さんが通うのは、パーソナルトレーナーが個人に合わせてプログラムを組む、オーダーメイド型のスポーツジムだ。週に4日は、夜8時に仕事を終えるとジムに直行。平日は1~2時間、休日は3時間程度、お尻まわりと腹筋を中心に、指導を受けながらトレーニングに励む。

 さらに、筋肉量を増やすため、食事は赤身肉のステーキや鶏胸肉を積極的にとるなど、高タンパク低カロリーを徹底。小腹が空いたときに口にするのは、プロテインドリンクだ。ジムに行けない日には、ダンベルなどの筋トレグッズを使って、自宅でトレーニング。

「細いだけの体は魅力的じゃない。筋肉質で、健康的な体に憧れます。お尻だって、ペタンコよりキュッと上がった丸みが欲しい。そのためには、毎日の筋トレと、筋肉を作るための食事が欠かせないんです」

 理想は、外国人女性のようなメリハリのあるボディーライン。きゃしゃな体形だが、続けるうちにしなやかな筋肉がつき始めた。ボディービルダーのような体が目的ではないのだ。

「今は女性にとって、おなかが割れていることがステータスという時代。ビタミンよりプロテイン志向の女性も増えています」

『#腹筋女子 お腹が割れたら人生変わった!』を監修したインストラクターの山崎麻央さん(ソラーチェ代官山)は言う。山崎さんが主宰するスタジオも、年々女性客が増加。多くがトレーニングによって「腹筋を割りたい」と志願し、入会すると言う。

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