今年の消費トレンドのキーワードとして注目されるのが、「逆転消費」だ。対象とする性別や季節の逆転によって、新たな市場が続々と生み出されているという。「筋トレ=男性」「美容=女性」など、従来の概念を取り払うことが、商機拡大のポイントになりそうだ。
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予約して8月に届くオードブル風の「おせち」が登場し、節分の風物詩「恵方巻」が8月にも売り出され、「お年玉」ならぬ「お盆玉」が広がって専用のポチ袋が販売される……。
ここ数年、夏と冬の季節が逆転した消費トレンドが加速している。「楽天市場」ヒット番付の担当者で、楽天でトレンドハンターを務める清水淳氏が注目するのが、お盆の“お正月化”。帰省で家族が集まるタイミングが、正月からお盆にシフトしてきているため、真夏こそ家族だんらんの商機と捉えているようだ。
季節の逆転といえば、拡大を続けているのが「冬アイス」市場。冬場に高級感を打ち出した商品や、斬新な食べ方が各社から提案され、売れ行きを伸ばしている。ハーゲンダッツジャパンは、最もアイスが売れる月は真冬の12月だという。
「財布のひもが緩む年末に、自分へのご褒美として高級アイスを楽しむ傾向が見られます」(ハーゲンダッツジャパン広報担当者)
楽天では、12月の水着売り上げが前年より20%増加。冬の花火の売れ行きも伸びている。さらに、夏が旬のマンゴーを冬に楽しむなど、季節の食材や料理が、真逆の季節に楽しまれる傾向が顕著に見られているという。
「あえて逆を選ぶのは、消費に“楽しさ”を求めている証し。これからは、消費行動に“おもしろさ”という付加価値をいかにつけられるかが勝負では」(清水氏)
消費低迷の時代といわれて久しいが、逆転消費は物欲を満たすというよりは、コト消費やイベント参加に近い感覚なのだろう。
「この波に乗って、“夏のお餅”も仕掛けていきたい。はやらせる自信? もちろんありますよ」(同)