使わない着物で思わぬ収入が得られるのはうれしいが、訪問買い取りを巡ってはトラブルも起きている。着物に限らず貴金属などを強引に安値で買う悪質な業者もいるのだ。

 国民生活センターによると、自宅で物品を買い取ってもらう際の相談件数は、16年度は8648件で増加傾向だ。件数に占める60歳以上の割合は約7割で、高齢者の被害が多発している。

 売る約束をしてから8日以内であれば契約を解除できる「クーリングオフ」の制度もある。業者の求めに応じて焦らずに、じっくり検討しよう。

 トラブルになれば、最寄りの消費生活センターに相談できる。家に勝手に上がられたり、脅されたりする場合は警察に連絡する。

 業者も大手から中小まで様々で、対応を見極めることが必要だ。バイセルやリゲートなど、顧客保護に力を入れているところも増えてきた。

「業界全体として問題を抱えているのも事実。私たちは商談前にパンフレットなどを使って、押し買い行為にならないよう説明しています。お客様へ確認電話をするなど、査定員が無理な買い取りをできない仕組みにしています」(バイセルの岩田CEO)

 長年大切にしてきた着物。後悔せずに納得して売りたいものだ。

【買い取りのポイント】(編集部作成)
(1)年に数回は干すなど定期的に手入れする。保存状態も確認
(2)帯や小物を含め一式そろえておく。バラバラだと不利に
(3)品質証明書にあたる「証紙」を保存。有名作家のものは高い
(4)鳥やウサギ、など動物の柄や、色が美しいものが人気
(5)普段着や家紋が入ったものは価格が抑えられることがある
(6)複数の業者で見積もり可能。申し込めば査定に来てくれる
(7)クーリングオフの制度もある。納得できるまで交渉しよう

(本誌・大塚淳史)

週刊朝日 2018年3月2日号