羽生結弦の金メダルを神社に祈願するファンたち(C)朝日新聞社
羽生結弦の金メダルを神社に祈願するファンたち(C)朝日新聞社
金メダルを獲得し、ファンを見上げる羽生結弦(C)朝日新聞社
金メダルを獲得し、ファンを見上げる羽生結弦(C)朝日新聞社

 平昌冬季五輪で金メダルを獲得し、堂々の復活を見せた羽生結弦(23)。圧倒的な存在感を見せつけたのは、羽生本人だけではない。悲鳴に近い声援を送り、演技後には大量のプレゼントをリンクに投げ込むファンの姿も然りだ。その熱烈ぶりは、海外メディアも注目する。筋金入りの“真正”ファンの「ユヅ復活支援」を取材した。

【写真】まさに胸キュンの瞬間!表彰式後にファンを見上げる羽生結弦

「大ケガをして、誰もが “羽生は無理だ”という雰囲気の中での完璧な演技。まさに、ドラマチックそのもの」

 長年のスケートファンで、ジュニア時代から10年来の羽生ファンという坂口緑さん(仮名・40・会社役員・独身)は演技を見て、羽生の強さを改めて実感した。

 平昌冬季五輪で金メダルに輝いた羽生。フィギュアスケート男子ショートプログラム(SP、2月16日)では、右足首故障により約4カ月ぶりとなる実戦復帰にもかかわらず、自身の持つ世界最高記録に迫る111.68点を出して復活を見せつけた。

 復帰を待ち望む大勢のファンに報いるためにも「夢に描いた演技」を披露すると誓い、「やれることはやった」と笑顔で答えた羽生の鮮やかな復活劇に、世界が注目した。

 今や、ファンの熱狂ぶりはアイドルを超えるほどだ。例えば、ディズニーのキャラクター「プーさん」好きで知られる羽生へのプレゼントとして、演技後にファンはプーさんのぬいぐるみをリンクに投げ込む。米大手紙などでも「プーさんの海」「プーさんの雨が降り注いだ」と紹介された。

 平昌五輪の指定旅行会社としてJTB、東武トップツアーズ、KNT−CTホールディングスの3社は観戦チケット付きのツアーを日本国内で販売。

 JTBは航空券代込み(羽田・成田発着)の6日間で81万8千円~(エコノミークラス、2人1室利用/以下同)、現地発着プランでも70万8千円~という高額設定。KNT−CTホールディングスでも、4日間で75万円~という強気の値段にもかかわらず、即時完売が続出。東武トップツアーズも、羽生が出場する観戦ツアーは、平昌五輪関連ツアーの中で「一番の人気」(同社)だ。
 
 過熱する羽生人気だが、行き過ぎた行動を取ってしまう例も。観戦で演技中に席を移動する、羽生以外の選手の演技中に大きな声で話し続ける、立ち入り禁止ゾーンに侵入するなどのマナー違反もたびたび問題視されている。

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松岡かすみ

松岡かすみ

松岡かすみ(まつおか・かすみ) 1986年、高知県生まれ。同志社大学文学部卒業。PR会社、宣伝会議を経て、2015年より「週刊朝日」編集部記者。2021年からフリーランス記者として、雑誌や書籍、ウェブメディアなどの分野で活動。

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マナーを守れないにわかファンたち