岩合光昭 (c)Iwago Photographic Office
岩合光昭 (c)Iwago Photographic Office
撮影/岩合光昭 (c)Iwago Photographic Office
撮影/岩合光昭 (c)Iwago Photographic Office

 動物写真家・岩合光昭さんが見つけた“いい(こ)”を紹介する「今週の猫」。今回は、ペルー・クスコの「インカ猫」です。

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 インカ帝国の謎多き遺跡マチュピチュ。この空中都市の「剃刀(かみそり)の刃一枚通さぬ」と称された強固なインカ独自の石組みは、かつて首都であったクスコの至るところに今も残されている。

 なかでも有名な「12角の石」の向かいに、観光客向けのモデルであろう、民族衣装を身にまとう先住民インディオの親子がいた。母親の膝でくつろぐ子猫と子山羊は、娘と姉妹のように仲が良く、片時も離れない。種を超えたその絆は、大地震にも揺るがなかった石組みのように、強く深く結ばれている。

週刊朝日 2018年2月23日号

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岩合光昭

岩合光昭

岩合光昭(いわごう・みつあき)/1950年生まれ。動物写真家。1980年雑誌「アサヒグラフ」での連載「海からの手紙」で第5回木村伊兵衛写真賞を受賞。1982~84年アフリカ・タンザニアのセレンゲティ国立公園に滞在。このとき撮影した写真集『おきて』が全世界でベストセラーに。1986年ライオンの親子の写真が、米「ナショナルジオグラフィック」誌の表紙に。94年、スノーモンキーの写真で、日本人として唯一、2度目の表紙を飾る。2012年NHK BSプレミアムで「岩合光昭の世界ネコ歩き」のオンエア開始。著書に『日本のねこみち』『世界のねこみち』『岩合光昭写真集 猫にまた旅』『ふるさとのねこ』『ネコを撮る』『ネコへの恋文』など多数。初監督作品となる映画「ねことじいちゃん」のBlu-rayとDVDが発売中。

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