相続対策のセミナーは各地で開かれていて、多くの高齢者らが参加している
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遺産の引き継ぎ方には3 つの方法がある(週刊朝日 2018年2月23日号より)
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相続税の申告・納付までにやるべきことは多い(週刊朝日 2018年2月23日号より)
相続税の申告・納付までにやるべきことは多い(週刊朝日 2018年2月23日号より)

 相続はいつ向き合うことになるかわからない。悲しむ中でも、相続税の申告・納付期限は10カ月でやってくる。やるべきことは多く、時間は意外と少ない。家族でもめる“争続”にならないよう、生前の準備が大切だ。

【図表でみる】こんなに多い!相続税の申告・納付までにやるべきこと

 亡くなってから相続税の申告までに遺族がしなければならないのは、どんなことだろうか。

 まず残された家族は亡くなってから7日以内に、死亡届を市区町村に提出する必要がある。火葬許可の申請も同時に行う。

 届け出が必要な書類はほかにもいろいろある。被相続人が受給していた年金の受給停止手続き(死亡後10日以内)、国民健康保険の資格喪失届(14日以内)、介護保険の資格喪失届(14日以内)、世帯主の変更届(14日以内)などだ。漏れがないように役所の窓口で相談しながら進めよう。

 相続にあたって重要となるのが法定相続人の確定だ。それには亡くなった被相続人の戸籍謄本を取り寄せなければいけない。本籍地の市区町村に直接行くか、郵送で請求することもできる。生まれたときから亡くなるまでの全ての戸籍謄本をチェックし、きょうだいや子ども、養子らを全員把握する。仮に婚外子が新たに判明した場合には、亡くなったことを連絡し相続手続きへの協力を要請する。

 相続人が確定できたら、遺言書があるかどうかを確かめよう。正式な遺言書の内容は、法定相続分に優先する。

 同時に進めるのが残した財産を把握することだ。預貯金や投資信託といった金額がわかりやすいものから、不動産や貴金属、美術品まですべてをリストアップする。住宅ローンなどマイナスの財産も調べておく。金額の評価に時間がかかる場合は、とりあえずリストに入れて、判明した段階で記入すればいい。

 佐藤和基税理士は「注意したいのは不動産です」と訴える。預貯金などの金融資産とは異なり、専門家の間でも金額の評価にばらつきがあるためだ。

「固定資産税の納付書で確認するだけでは完全とは言えません。例えば『公衆用道路』など、固定資産税が非課税だったり、評価額が一定水準に達しなかったりする不動産は記載されていないためです。相続税は固定資産税と異なり、すべての財産が課税対象です。申告漏れを防ぐには、役所に行って、所有者ごとの不動産をまとめた『名寄帳』(土地家屋課税台帳)を取り寄せておくとよいでしょう」

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