中日の松坂大輔も連日報道で大きく取り上げられているから、実際に北谷キャンプに行かなくても、日々の動きは追える。自分の中で制御をかけてやっているのはいいのだが、ブルペンの傾斜を使って、体の動きを確認する作業など、もっと柔軟にブルペンというものを考えていい。右肩の不安があり、球数を制限する必要はあるが、彼の場合はブルペンに足しげく通って、シャドー投球でもいいから投手としての動きを体にしみこませてほしい。

 映像を見るかぎりは、ソフトバンク時代と違って肩を回せるようになっている。ただ、それも今の強度であるならば……だ。実戦に向かうにあたって9割前後で腕を振った時にどうなるか。体の使い方のタイミングのズレはどうなのか、恐怖心はどれだけ取り除けているか……など問題は出てくる。球数を多く投げられないのだから、質の高さを追い求めてもらいたい。

 北谷キャンプには2月中旬以降に行く予定だ。第3クールから第4クールになるのかな。実戦に入っていく前に、どんな心境で、どんな思いを持っているのか。彼の表情を見るのも、楽しみにしている。

週刊朝日  2018年2月23日号

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東尾修

東尾修

東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝。

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