春風亭一之輔「いや、ちょ、まっ…」自分の書いた本を朗読され困惑 (1/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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春風亭一之輔「いや、ちょ、まっ…」自分の書いた本を朗読され困惑

連載「ああ、それ私よく知ってます。」

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春風亭一之輔(しゅんぷうてい・いちのすけ)/1978年、千葉県生まれ。落語家。2001年、日本大学芸術学部卒業後、春風亭一朝に入門。JFN系FM全国ネット「サンデーフリッカーズ」毎週日曜朝6時~生放送。メインパーソナリティーで出演中です

春風亭一之輔(しゅんぷうてい・いちのすけ)/1978年、千葉県生まれ。落語家。2001年、日本大学芸術学部卒業後、春風亭一朝に入門。JFN系FM全国ネット「サンデーフリッカーズ」毎週日曜朝6時~生放送。メインパーソナリティーで出演中です

地方の落語会にて開演前の主催者の挨拶で…(※写真はイメージ)

地方の落語会にて開演前の主催者の挨拶で…(※写真はイメージ)

 落語家・春風亭一之輔氏が週刊朝日で連載中のコラム「ああ、それ私よく知ってます。」。今週のお題は、「ノーミス」。

*  *  *
 先日、地方の落語会にて開演前の主催者の挨拶。50がらみの品のいいご婦人です。

「本日ご出演の一之輔師匠は朝日新聞出版から『いちのすけのまくら』というエッセイ集を出されまして、これがたいへんに面白く……」

 挨拶の中で新刊本の紹介までしてくれてるではありませんか。終演後は本の物販もあるのでなによりです。舞台袖で独り恐縮していると、「ではちょっとお時間を拝借しまして、その一節をわたくし朗読させて頂きます……」。お前が読むんかーい!? 観客からはまばらな拍手。

 私は思わずその場にしゃがみこみましたよ。耳をパカパカしながら、「あーあーあー! 聞こえナーイ! 聞こえナーイっ!」ってやっちゃった。

 どんな文豪でも、さほど興味を持っていない聴衆を目の前に、自分がごく軽い気持ちで書いたエッセイを、自分がその場にいるのに、他人(一般人)に朗読されるのは、「いや、ちょ、まっ、勘弁してくださいよーっ!!(汗)」と言うはず。つーか、あの本は私の「日記」みたいなもんですから。「日記」を朗読されるのはつらいよ。してみりゃ、年端もいかない子供たちに、無闇に大声でつっかえつっかえ『智恵子抄』を音読されている高村光太郎って、あの世でどんな気分なんでしょう……?

 ましてやこの本は爆笑するほど面白いものじゃないからね。かといって、やっぱり「クスクス……」ぐらいはきてほしい。はたして音読で文のニュアンスが伝わるか……。ましてや読むのは素人のおばさん。たどたどしく読まれては全てが台なしだ。

 袖で「せめてつっかえたりはしないでくれー」と祈ってたら、非常に流暢な語り口でまさかの『ノーミス』で読了。しかし聴衆は老亀のごとく沈黙……。枯山水の庭を眺めてる団体さんのほうがまだ騒々しいくらいである。主催者「というような、面白コラムが100篇載っています。ぜひ書店で」。絶対買わないよ!! そんな満座を静まらせる本っ!! 余計なコトを!


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