株式や投資信託などへの投資は広がりつつある(東京都中央区、東京証券取引所)(c)朝日新聞社
株式や投資信託などへの投資は広がりつつある(東京都中央区、東京証券取引所)(c)朝日新聞社

 一つの会社に居続けられる保証はなく、給料アップも望めない。サラリーマンの経済環境は厳しさを増すばかりだ。専門家によれば、お金で苦労したくなければ、早くからお金に関心を持ち貯まる原理を学ぶしかない。

 どうすれば貯め時にお金を貯めて増やすことができるのか。運用に詳しいファイナンシャルプランナー(FP)の深野康彦さんによると、

「いきなり運用へは行けません。まずは貯金が先です」

 深野さんもそうだが、貯め方の基本には、だれもが同じ手法を挙げる。

「積み立て」「給与天引き」

 つまりは給料が振り込まれると即、引き去りが行われる仕組みだ。これだと積み立て部分は「なかったもの」として意識せず、知らない間に貯めることができる。

 昔からある手法だが、「なぜ積み立てなのか」という理由づけは、実はシニア世代の若いころにはなかった考え方に基づいている。いわゆる「昭和の家計」と「平成の家計」の違いだ。

 右肩上がりの「昭和の家計」では、収入が年々増えていくので、支出にはあまり気を配る必要はなかった。次のような順番で貯蓄を考えていたはずだ。

収入-支出=貯蓄

 毎月、普通にお金を使って、余ったら貯蓄に回すという考え方だ。しかし、収入が増えない今、考えずに支出していると、いつまでたっても貯まらない。「平成の家計」は貯蓄を第一に考える。順番はこうだ。

収入-貯蓄=支出

 この貯蓄部分を担うのが積み立て。要は毎月、貯蓄を先に行ってしまい、残ったお金の範囲内で生活するということだ。

「簡単なように見えますが、積み立ても達成するには一定のハードルがあります。途中で引き出すのは自由ですから。『使えるお金がある』という悪魔のささやきに負けると、即、挫折です。初心者は、『100万円を3年で貯める』などの目標を立てて、始めるといい」(深野さん)

 成功すれば、次のステップへ進めばいい。ここからは、いつの時代も変わらないことばかりだ。

著者プロフィールを見る
首藤由之

首藤由之

ニュース週刊誌「AERA」編集委員。特定社会保険労務士、ファイナンシャル・プランナー(CFP🄬)。 リタイアメント・プランニングを中心に、年金など主に人生後半期のマネー関連の記事を執筆している。 著書に『「ねんきん定期便」活用法』『「貯まる人」「殖える人」が当たり前のようにやっている16のマネー 習慣』。

首藤由之の記事一覧はこちら
次のページ