私大医学部の出願状況はどうか。

 医系専門予備校メディカルラボ本部教務統括の可児良友さんはこう話す。

「何校も受験できる私立大は、定員や科目数、入試日の変動や試験会場の増減、学費の値下げなども志願者動向に大きく影響します」

 御三家の日本医科大が4月から6年間の学費を570万円下げ、08年に約900万円値下げした順天堂大との差が約150万円と縮まる。日本医科大の小澤一史医学部長はこう話す。

「学費の値下げによって、前期試験の志願者が前年よりも約500人増えました。後期試験の締め切りはまだですが、前期同様多くの志願者を期待しています」

 2月2日時点の志願者数で見ると、私大も国公立大同様、全体的には志願者が微減になる見込みだが、成績トップ層の生徒は減っていないという。医学部受験予備校メディカの亀井孝祥代表はその根拠についてこう話す。

「一般枠の志願者数は全体的には減っているところが多いのですが、センター利用入試の志願者は、現在発表しているすべての大学で増えています」

 枠が少ないところに成績トップ層が殺到するため、だいたい9割ぐらいの得点を狙える受験生が出願するという。この目安は、国公立大医学部とほぼ同じだ。

「東京の開業医の約8割が東京の私大の出身だと聞いたことがあります。メディカでも、首都圏の生徒が地方の国立大医学部と東京の難関私大の両方に合格した場合、東京の私大に進学する傾向が強いですね」(亀井代表)

 センター利用入試の志願者数をみると、杏林大が1391人、獨協医科大が1211人、愛知医科大が877人、近畿大が前期と中期を合わせて920人など。獨協医科大の定員は15人なので、志願倍率は80.7倍になる。

 メディカルラボの可児さんは、昨年10月に行われた「第2回ベネッセ・駿台記述模試」の志願状況にも注目する。

「成績上位者の志願者は、前年と比べると、ほとんどの私大医学部で20%以上増えており、一般入試もセンター利用入試もハイレベルの戦いです。今までは比較的問題が易しかった岩手医科大、金沢医科大の問題が今年難化したのも、成績上位層が受験するようになったからだと思います」

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